アメリカの精神科医・デヴィッド・R・ホーキンズ博士は、著書「パワーか、フォースか 人間のレベルを測る科学」において、人の意識には17段階のレベルがあると解説しています。
この17段階の意識レベルはキネシオロジーテスト(筋反射テスト)によって科学的に測定され、数値化されています。
この意識レベルについての見立ては、病気の患者さんに対する心理的アプローチにおいても非常に重要です。なぜなら意識レベルとは、その人の「世界に対する見え方」と相関するからです。
全く同じ出来事を目撃したとしても、その人がどの意識レベルにあるかによって、全く違う見え方になります。つまり、環境が変わらなくても、意識レベルが違えば、その体験する世界はまったく異なったものになるということです。
ルイス・メール・マドローニャ博士が主張するように、自然な病気の鎮静は思考を変えると起こるのであれば、意識レベルが上がり、世界の見え方が変わることの意義は言わずもがなでしょう。
詳細はデヴィッド・R・ホーキンズ博士著「パワーか、フォースか 人間のレベルを測る科学」を読んで頂くと良いですが、本を読まずとも、大まかに傾向を知っておくだけでも参考になりますので、そのエッセンスをこの記事では紹介したいと思います。
“恐怖”や“怒り”は回復のプロセスに必要な体験
17段階の意識レベルの中でも最も低いレベルに位置付けられているのは「恥」や「罪悪感」「無感動」といった意識のレベルです。これらの低い意識レベルに共通するのは「罪の意識」や「絶望」の感情です。
これら「恥」「罪悪感」「無感動」の意識レベルの上に、「恐怖」や「怒り」のレベルが位置付けられます。ここからわかることは、「恐怖」や「怒り」の感情をきちんと感じきれているということは、「罪の意識」や「絶望」に覆われている状態よりもエネルギーレベルとしては高い状態にあるということです。
私たちは「恐怖」や「怒り」をネガティブなものと解釈しがちですが、「恥」や「罪悪感」「無感動」のレベルにいる人にとっては、「恐怖」や「怒り」のレベルを一時的に経験することはむしろ必要なプロセスとも言えます。
病気の患者さんに対する心理カウンセリングの中でも、「恥」「罪悪感」「無感動」の意識レベルにあるクライアントさんに対しては、わざと怒らせたりして、意識レベルを上げる介入をすることもあります。
意識レベル | パワーの数値 | 感情 | |
1 | 悟り | 700-1,000 | 表現不可能 |
2 | 平和 | 600 | 至福 |
3 | 喜び | 540 | 静隠 |
4 | 愛 | 500 | 崇敬 |
5 | 理性 | 400 | 理解 |
6 | 受容 | 350 | 許し |
7 | 意欲 | 310 | 楽天的 |
8 | 中立 | 250 | 信頼 |
9 | 勇気 | 200 | 肯定 |
10 | プライド | 175 | 嘲笑 |
11 | 怒り | 150 | 憎しみ |
12 | 欲望 | 125 | 切望 |
13 | 恐怖 | 100 | 心配 |
14 | 深い悲しみ | 75 | 後悔 |
15 | 無感動 | 50 | 絶望感 |
16 | 罪悪感 | 30 | 非難 |
17 | 恥 | 20 | 屈辱 |
意識のマップ(デヴィッド・R・ホーキンズ著「パワーか、フォースか」より)
意識レベルを上げて世界を見る
そして最終的には、様々な能力が生まれる「勇気」以上のレベルにまで上げていくための介入を行っていきます。
意識レベルを上げるためのアプローチはいくつか方法がありますが、そのうちの1つをお伝えすると、高い意識レベルから物事を見て、高い意識レベルの人としてふるまうことです。
日々、直面する出来事に対して「高い意識レベルの状態で眺めたら、この出来事はどのように見えるだろう?」とイメージし、その見え方をもとにふるまいをイメージし、演じていきます。このくり返しによって、少しずつ意識レベルは上がっていきます。
「勇気」「中立」のレベルにいると、世界はどう見えるか
では「勇気」や「中立」から世界を見ると、ものごとの見え方はどのように変わるのでしょうか?
たとえば「勇気」のレベルにあると、他の人が「これはピンチだ」「まずいことが起きている」と解釈するような出来事に直面しても、「刺激的な出来事だ」とか「このピンチを乗り越えることで、さらに可能性を広げるチャンスにできる」というような見方をします。
あるいは「中立」のレベルになると、ものごとに対して「これは良いこと」「これは悪いこと」と言うようなジャッジをしなくなります。全てのことには良い面と悪い面が同時に存在しており、一見悪いことのように見えることにも必ず良い面を見出していきます。例えば病気に対しても「病気は自分の生き方を見つめ直す機会にすぎない」「ただ、必要なことが起きているだけ。良いも悪いもない」という見方をします。
意識レベルは“住み慣れている”ものなので、高い意識レベルで物事を見ていくのは、始めは違和感があるかもしれません。しかし、「高い意識レベルの人」としてふるまい続けていると、脳は次第に「私は意識レベルが高い人」と信じこみ始め、意識レベルが高い人の脳として動き始めるようになります。
今まで無自覚に受け入れていた物事に対する見方について、意識的になること。その積み重ねが、あなたの意識レベルを変えていきます。