病気の患者さんに対する心理的アプローチを行う上で重要なことは「病気をやめることをゴールにしない」ということです。

病気にかぎりませんが、人が「何かを避けたい」と言う理由から願望や目標を持っても、うまくいきにくいものだからです。

「何かを避けたい」と思う時、私たちはその「避けたい何か」をイメージします。すると脳は、そのイメージした「避けたい何か」を現実化させようと働いてしまうのです。

健康な体は、あくまでも手段にすぎません。重要なことは「なんのために健康な体が必要なのか?」「健康な体を使って、どんな目的を達成したいのか?」という、その人の「生きる目的」を思い出すことです。

スピリチュアルで語られていることが真実かどうか?は問題ではない

私たちには、一人一人、この世に生まれてきた目的がある。
両親も、自分の「魂」が選んだもので、両親を選んだ理由も、自分の生きる目的につながっている。

このように書くと「スピリチュアルな考え方で、非論理的だ」と否定的な立場をとる方や、「私は親からひどい虐待を受けてきました。そんな親を自分で選んだなんて、受け入れられません」と抵抗を感じる方もいるでしょう。

本当に、私たちが生まれてきた「目的」が存在するのか?
本当に、生まれる前に親を選んでいるのか?

その真実のところは、もちろん私にはわかりませんし、それが真実かどうかは、問題ではないと考えています。

「生まれてきた目的がある」ことや「両親を選んで生まれてくる」ことの真実はどうあれ、その立場からご自身の人生を振り返り、人生に起きてきたことの解釈をつけかえ、意味を見出すことが重要なのです。

人生で苦しく、悲しい体験をされてきた方にとっては、個々の体験そのものや人生全体に「意味が見出せない」という方が少なくありません。しかし人間にとって、意味を感じられないことほど苦しいことはないのです。

もっとも残酷な刑罰は、徹底的に無益で無意味な労働をさせることだ。
(ドストエフスキー)

生きる意味を見出すことは、その人の生きる力になります。

だからこそ「病気をやめたい」とカウンセリングを受けにいらっしゃるクライアントさんには、どのような薬を飲むか?どのような手術をするか?どのような生活習慣を心がけるか?ということ以上に「なんのために病気をやめるのか?」ということを徹底的に深く掘り下げていくことに取り組んでいただきますし、私もそのためのサポートを丁寧に行っています。